窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

屋根

朝、いつものように椅子の背に家の猫を挟んで、パソコンに向かっていると猫が鳴いた。「ニュッニュッ!」と。
挟んでいるから窮屈で鳴いていたのかもしれない。それでも私とてこれ以上浅く座る訳にはいかないので無視していた。すると、また「ニュ、ニュッ」と、鳴く。
私は後ろ手に猫を撫でた。すると、もっと大きな別の声で「んにゃ」と私の後ろで家の猫が鳴いた。では、いったい今までの猫の声は?
「ニュッニュッ」という声は窓の外から聞こえる。ここは2階。窓を開けると軒の上にタロウがいて窓枠に手をかけて伸びながら「ンニューーー」と嬉しそうに鳴いた。
急いで下におりると、ドタドタとトタンばりの軒を伝ってタロウも降りて来た。しかも鳴きながらなので騒がしい。なんとも。