窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

数日前の明け方。暑くて布団に起き上がったら、左側に置いた文机の所に、猫の形のものが走ってきた。黒い紙をクチャクチャにして象ったような猫。私は極度の近眼なのでよく見えない。手を伸ばしたら紙の灰が崩れるように細くなって消えてしまった。

22歳の猫が死んでしまってから猫を触っていない。悲しくなると粘土で小さな猫を作る。死んですぐに1つ作った。1つじゃ足りなくていくつも作った。

10日ほど前から猫が急性鼻炎になり病院へ通っていた。 何年も前から鼻血が時々出るのだけれど、今度は鼻炎も重なって呼吸が困難になるし吐血するしで、口を開いて苦しそうに息をしているだけで何も食べず。綺麗好きな子なのにトイレにも行かれず、じっと耐え…

失明して1ヶ月近くたって、猫も私も少し生活に慣れてきたように思う。 腎臓の処方食も好きなので少し太ってきた。トイレにも少し迷いながらも自分で行っている。でも1階でしかしない。 階段をひとりで下りるのは危ないので2階のドアを閉めて寝ているから明…

失明してから初めて家を半日空けた。 帰ると、寒い所においてある餌の前に座ってボンヤリしている。 餌はあまり減っていなくて、途方に暮れている様子が悲しい。 それでもご飯を食べてからは、あちこちぶつかりながらも 確認しながら歩き回っている。 昨日よ…

20歳になる家の猫は、少しずつ腎臓が悪くなっていて所謂慢性腎不全だ。数値は緩やかに悪化しているので、食餌療法、薬、そして近々皮下輸液をしなければならない。 それ以前に1年前くらいから時々鼻血が出ていて、病院でも血圧が高いのかもしれないと言われ…

家の中はずっと31度。昨年もらったクーラーがあるのだけれど、あまりつけない。クーラーをつけると猫は2階に上がっていってしまう。2階は熱で滅菌消毒ができそうなほど暑いというのに。窓辺でバタッと倒れて寝ている。ブラシをかけてやるとうれしいんだか…

キャットフード

前に居た猫は10歳の時結石から腎臓を患って死んでしまった。当時は色んな知識もないままで可哀想な事をしてしまった。 それで今の猫にはキャットフードに気をつけている。元々アレルギー体質らしいので色々と試していると、食べた翌日に顔に湿疹が出ている時…

17歳

普段は耳が聴こえない事を忘れているのだけれど、複数の人と会ったりすると聴こえない事を再確認する。だからといって別にどうしようもないので、聴こえるほうの耳を無意識のうちに話している人の方にすいよせられるように向けたりして、何となく怪しまれて…

軒下はすっかり静かになった。秋だし。 でも、朝、窓を開けると軒のプラスチックの波板が揺れる。ドドドドと、音がしてタロウが駆け降りてくるのだ。 タロウは朝から晩まで殆どいる。だから他の猫は寄ってこないのだ。 大きいタロウ。りりしい時もあるけど …

引っ越し

そんなわけで、8月半ばから9月の半ばまで、私はダルダルとしながら過ごしていたのだけれど、9月に入ってからアーニャ一家はどこかへ引っ越していってしまった。朝から夕方まで縁側や軒下にいた仔猫3匹とアーニャは、2週間以上経つけれど姿形もない。先日、…

手術

「みち」は一軒向こうの家の庭先にいて、アーニャは他の元気な3匹とわけてミルクをやったりしていたのだけれど、やはり死んでしまったようで姿を見せなくなった。残った3匹は元気が有り余っていて、アーニャも辟易としている様子が見える。毎日一軒向こう…

小心者

病気で毛が抜けてしまいすっかり小顔になってしまったデカオがいなくなった今、タロウはこの界隈では一番大きな猫のように思える。 けれど、あいかわらず気が小さい。 先日も室内の窓辺に置いてやった餌を食べているときに、窓の外を他の猫が通った。タロウ…

濡れ衣

このあたりの野良猫に皮膚病が流行っているらしく、一番ひどくなってしまったのはデカオだ。 顔の周りの毛が抜けて大きかった顔がすっかり小顔になってしまっている。しかし、毛が抜けた顔はなんだかさらに凄みを増した。 少ししたら、アーニャも頭のてっぺ…

16歳

家の猫は16歳だ。 てっきり去年16歳だと思っていたのだけれど、どうやら今年。 拾った時期から換算すると、だいたい今ごろ生まれたのだと思う。 猫は10歳くらいになると、もうあまりじゃれなくて寝ていることが多くなるという話をよく聞く。 彼女も昔に比べ…

引っ越し2

前日からの雨で鉢植えが水浸しになっていた。今朝もまた小雨。裏の水路の道をアーニャがいつもよりも少し大きな声で鳴きながら小走りに駆けていった。 鉢を移動したりしていた私が顔を上げると、水路から一段高くなっている金網の向こうのアスファルトの道路…

仔猫

またこの数日東京は寒くてストーブをつけたり消したり。でも、もう先週で灯油屋さんの配達は終わりだった。高かった。1880円。 三寒四温というから、まあそんなもんだと思う。暖かい日もあってそんな日曜の昼下がり、二階でパソコンを打っていたらキィーキィ…

猫のおうち

店長さんの家の猫さんが入らなかったというおうちを、私の家の猫用に持ってきていただいた。 入るかなあ。と、やや心配だったけれど、夜半になって入った。でもやや緊張気味。入ろうとする度にしばらく匂いを嗅ぐので、私も入り口から鼻を突っ込んで(という…

気がつくと当然のことながら12月も半ば過ぎた。仔猫を拾い、個展が始まり、終わり、そして普段の暮らしに戻った。なんだかワープしてしまったような感じのあっという間のことだった。 その間、ギイヤンも古傷から化膿していた箇所が脊髄を圧迫して、下半身マ…

里子に

仔猫を拾ってからまる2ヶ月、個展の前で怒濤のような日々だったけれど、酒井さん夫妻とMさん、そして紹介してもらった動物病院の先生にも本当にお世話になった。 酒井さんには里親さんも紹介してもらい,仔猫は避妊手術を終えて10日程経って落ち着いたので…

ようやく明日が搬入。今回は間が空いてしまったせいか、段取りが悪くてなんとなくぼんやりしている。今日は仔猫の診察でレントゲンを撮ってもらったが、まだ安静が必要とのこと。 そして、避妊手術をして完治したらもらってもらえる所を、酒井さんに紹介して…

予行演習

ぎいやんは、まだ小さな傷はあるものの、足はすっかり良くなったようで食欲もおう盛になった。 ノラとはいえ、具合が悪くなって家に駆け込んで来たら,病院へ連れて行かねばならないと思うので予行演習をしてみた。 タロウは籠型のキャリーをものすごく嫌が…

猫ちゃんのギブスがすっぽりと抜けてしまったので,またMさんにお願いして急遽病院へ。少し早いけれど。と、先生は言いながらも手術で入れていたピンを抜きギブスを取ってくれた。まだあまり動かさないように、ということでしばらくケージ暮らしが続く。 ギ…

無事退院

ちびっ子の方は、手術を終えて1週間前に退院した。今回もさかいさんとMさんに一緒に来てもらって,車で。 ちびっ子だけど、両足ギブスをしているから、身体がくの字にしか曲がらない。籠には容易に入らなさそうだったので抱いて運ばなくてはならず、本当に…

その後2

朝になって病院へ電話をすると、仔猫は残りの片方も手術が終わり元気にしているとのこと。 そして、ギイヤンは背中の噛まれた傷が化膿して圧迫されていたのかもしれない。とのことだった。血液検査も尿検査も問題はなく、もし脊髄に菌が入っていたら、脳症に…

その後の猫達

夜中に逃げ出して、その後少し足の具合も良かったように思えたのだけれど、台風の翌日にまたやってきたギイヤンの足は、もう膝あてがついているかのように、膝と甲の部分がすり切れて肉が出てしまった場所が、また新たに剥けていて痛々しい。それでも一生懸…

その後のギイヤン

仔猫を連れて行っていただいたさかいさんとMさんが、ギイヤンを保護すれば病院まで連れて行こう。と言ってくださったので、夕べ仕事から帰った私を見つけてやってきたギイヤンを捕獲。夜に家にいれたのは初めてのことだった。 家の猫は、歳を取っているし感…

一難さってまた一難

今朝、窓を開けたらタロウとギイヤンがいつものように、一軒向こうの家の庭から出て,私の家にやってきた。 ギイヤンの後ろからデカオさんが追いかけてくる。そして、追われているギイヤンの足がくねくねしている。・・・・ 必死の形相で細いコンクリートの…

名前はまだない

通称「猫ちゃん」は、紆余曲折。色んな方にお世話になりながら入院し、無事に手術へ向かうことになった。さかい夫妻とお友達にはお世話になりまくり、本当に感謝感激である。 猫を拾ってから、胃が痛くてどんよりしていた気持ちも晴れた。なんだか鬱っぽい、…

里親

タロウやぎいやん、そして子猫達は,近所のあちこちで見かける。勿論私の家の縁側や屋根に上っていることもあり,数件先の家のガレージで遊んでいたり。飼われているというよりも、地域猫なのか。しかし・・・午後、私が洗濯物を取り込むので縁側に出ると、…