窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。


昔、バイト先のハセミンが、出張先の宇都宮の潰れかかったおもちゃ屋で見つけて買ってきてくれた「織り姫」という子供用の機織り機を手にしてから、しばらくの間機織りにはまっていた。織り姫は子供用だけあって、狭い幅のものしか織れず、いつかはもっと大きな機織り機が欲しいと思っていて、思い出すたびにメーカーやら種類やらをチェックしていたのだけれど、それなりの値段がするので買えずにいた。それで、単純な織り方だけだったら原理的には簡単なので、自分で作ることにした。
古くなった100号キャンバスの木枠が、引っ越してからそのまま壁に立て掛けてあったので、それを使った。上下に釘を打ったのだけれど、それも試行錯誤で最初は上部の釘も下と同様に前面に打っていたのだけれど、それでは縦糸が強く張れないので、上面に打ち直した。糸綜絖は、縦糸よりも太めのタコ糸を使っているのだけれど、それもずれないように鋸で溝をつけた。糸綜絖に使っている木は、100号キャンバスの木枠のあまり。上にはやはり糸の幅がずれないように、溝を切った板で縦糸を挟んで完成。
しかし、けっこう力を入れて綜絖を引っ張るので、木枠が固定されていなければならない。最初は下に座って足を踏ん張って押さえていたのだけれど、上にいくにしたがって無理になってきたので、廊下の壁に金具で固定してしまった。「機織り機つき廊下」・・・。まあ、ネジで簡単に止めただけだけれども。
織っているのは、古い柄の綿布を裂いて織ってみているマット。どうやって布を裂くのかもわからないまま、ま、こんなもんだろうとやっているので、けっこうボコボコしている。(左下の後ろ姿は家の猫。)
しかし、私にとって編み物と機織りは禁忌であった。ぐったり。

今日は一日雨だった。昨日の夜から結構な量が降った。ボートで救助されている人の映像を見た。善福寺川が溢れたのだという。私の家の軒先の水路は、近くの公園の池から流れているもので、元で水の調整をするのか大雨の日には水が少なくなっている。朝方近くの公園に行ってみたけれど、別に変わりがなかった。ただ、蛙の声は全くしなかった。流されてしまったのか?どこへ・・・