窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

まどさん

先週半ばからまたハードスケジュール。頭が煮詰まっている。昨日友人のM亮が「まどさんの個展すごくよかったぜ!絶対見ろ」と、わざわざ携帯で電話をかけてきた。本当は一緒に見に行こうかと言っていたのだが、私のスケジュールが合わず、彼は一人で見に行きあまりに良かったので、帰り道々かけてきたものと思われる。電話の時には私はマック仕事と寝不足で、頭ががんがんしていたので、M亮の感動についていかれず、「ウーイ。ワカツタ。カナラズミニマイリマス」と、電話を切ったのだった。
そして、今朝早めに起きたので、仕事を抜けて昼に見てきた。「まどみちおの絵ー行間の宇宙ー」(1/31まで)・・・素晴らしかった。
 画集が出たときから、「実物はもっと凄いらしい」「紙がクレヨンでボコボコになっているという話だ。」などと、M亮から聞いてはいたのだが、とにかく画集では味わえない素晴らしさだった。まどさんの詩も絵の横にあり、画集と同様の見せ方になっていて、それも味わい深い。
 画面からひたひたと感じられるのは「無心」ボールペンやクレヨンや、それを引っかきとったりした無数の線や色は、効果を狙ったものではなく、それなのにきちんとその画面に留まっている。これは絵を本業としている人ではないからなのだろうか。と思ったりもした。だからと言って、子供が描いたような絵ではない。それは、まどさんの詩と同じ世界のように私には思われた。これらの絵が描かれたのは、今から40年近く前の3年間だけだという。その他資料は画集に詳しい。