窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

戌の刻

 先日Mラが来たときに見せた私の作品ファイルが、机にのったままになっていたので掃除をしながら開いてみた。Mラは「木版もいいね」と言ってくれた。木版というのはサイトの「戌の刻」用に作ったものだ。これは宮原清氏とのメール交換をしながら、連作で作った話である。お互いの話にそれぞれ挿画を描こう。と私が提案し、私はムキになって木版で絵を作った。それをMラに話すと、サイトのためだけにわざわざ・・・と口を一文字にして言葉を飲み込んでいた。というか呆れていた。私の学生時代の友人達は、ウチワ受けの為にムキになることが多かった。友達を驚かしたり感心させたりするために、気合いが入る。バカだねえ。とか、よくやるよなあ。と言われるのを褒め言葉と受け取っている。そうして勿論、例えウチワ受けを狙っていたとしてもそれなりのレベルはクリアしていなければならないと、私は思っている。だいたい、このサイトもそんな思いも半分で始めたのだった。