窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

大沢泰夫展

昨日は久しぶりに鳥飼と待ちあわせてお茶の水画廊の大沢泰夫展にでかけた。


大沢泰夫展
場所:お茶の水画廊 MAP
日時: 1月16日〔火)〜2月3日 AM:11:30〜PM 7:00
別室(蔵)にて、大沢昌助作品展同時開催

大沢先生の作品には、前に立ってじっと見ているときに、それを他の人に見られていると何だか恥ずかしい気持ちになるような女性の裸体の作品が多いのだけれど、最近はそんなに恥ずかしくないのは、私がオバサンになったからか?
猫を描かれた作品も多くて、今回「香箱をつくる」という言葉が話題になっていた。私はなんとなくその言葉は耳にしていたけれど、実際どういう状態をいうのかはさだかではなかった。猫のなんらかの寝姿。くらいの覚えで。
いわゆる鴨状態(というとよけいにわからないか・・前足を折って座っている状態)を言うらしい。
画廊にあった広辞苑には「香箱」をひいても「香を入れる箱」としか載っていなかったという。それで私は家に帰って、こういう言葉はこの辞書ーー「新解さん」をひいてみた。

香箱
香を入れる箱 香合(こうごう) 「ーーを作る」[寒さ等のために猫が体を丸くして寝る形容]
:新明解国語辞典第5版

さすが新解さん。「寒さ等のため」とちゃんと言っているところが憎い。しかし、香箱というとなんとなく蒔絵がほどこされたりしている四角い箱というイメージだ。それと猫の寝姿が果たして似ているのか?
それで画像を、ググってみると「ズワイガニの雌」が「香箱ガニ」と呼ばれる。と、載っていた。画像だけで見ると、猫と香箱よりも猫とズワイガニの方が似ているような気がするのは、たまたま見た猫の写真がペルシャのぺったんこな顔だったせいか?

ズワイガニ香箱ガニというのは、限られた場所のことらしいので、ここは新解さんを信じて、素直に香箱と思うことにしよう。
昔、香を入れる箱が普通に座敷にあったときに、香箱の蓋を開けようと手を伸ばしたら、傍らに座っている猫を間違えて触っていて「おや、香箱かと思ったら猫だった。」と、そこかしこで言われていて「香箱を作る」という言葉が生まれたのだろうか。そんなふうに落語に出てくるような粗忽者が沢山居たのか、否か?
なんだかほほ笑ましい。
しかしこの「ーー作る」というのはなんなのか。疑問は尽きない。