窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

驚愕の事実

ずんさん夫婦が帰って、翌日も猫達はなんとのう警戒をしていた。ぎいやんは頭が悪いのか、すぐに元のようにぎいぎいといいながらすり寄ってきたのだけれど、タロウは近寄らずに疑わしそうな目で見ていて、つかまえるともだえて逃げようとしていた。それでも夕方になったらだいぶ落ちついたようで、ぎいやんのうしろから甘えたくてモジモジしていた。しかし・・・いったいこんなふうに私がてなづけててどうすればいいというのだ?

さて、驚愕の事実の話である。
1件置いた家には年配の夫婦が住んでいて、こなつも子猫を産んでから、その家の庭から私の家の軒下にやって来た。そうして生まれた子供達も同様だったのだ。が・・・。

なんたることか。今朝その家の前を通ったら、ガスと水道の契約書類がドアノブに吊るされていたのだ。
「もしかして、引っ越したの?」ああ、ポストはガムテープで塞がれている。

「猫置いてったんかー」と、私は叫ぶべき相手もいないまま、心の中で叫んだのだった。
世の中って不条理。