窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

猫は日なたぼっこをすると、毛の間にビタミンDが形成されるので、それを自分で舐めることで身体に取り込む。と言うような話を、猫好きの人から聞いたり、何かで読んだりしたような記憶がある。だから人間も陽によくあてた猫を舐めれば、ビタミンDが摂取されるのではないか。と、これはラジオで誰かが言っていた。
このところ気温もだいぶ下がってきて、陽が部屋に差し込んでもそれ程暑く感じなくなったので、晴れた日にはカーテンを開けて猫を陽に当てている。真夏はなんとなく毛並みがパサパサしていたのだけれど、日なたぼっこをした後の猫は、手触りが心なしかすべすべしているような気がする。
家の猫は若い頃は毛の艶が良く、黒い部分はピカピカしていたので、近所の人達に「まー、ツヤツヤして。何か塗ってもらっているのぉ?」等と言われたものだが、13歳にもなると艶消し状態になってきている。もっと手でごしごしと撫でてやると艶が増すだろうか。
ごしごしと撫でてやったあと、手のひらをじっと見てしまった。ビタミンDがついている……。