窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

扉の向こうの今

 個展の為の住所録の整理。昔の模型仲間のキシ君はどうしているか。いつも来てくれていたのに突然会社も辞めてしまって音信不通になった。
 昔、キシ君と一緒に電車に乗っていたときのこと。昭和初期の場面を写したモノクロの写真が使われた吊り広告が何枚もあって、その中に馬や犬や猫が写っているものを見ながら、私が「カワイイね。あの犬。」とK君に言うと、彼は「みぃーんな、もう死んでるね。あの馬も犬も、猫も、みぃーーーんな。」と、言ったので私はとても驚いた。

続き