窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

突難

6,7年程前、突発性難聴(突難)になってから、左耳はあまり聞こえない。これまで何度も小噴火を繰り返しつつ騙し騙しやってきたけれど、昨年末あたりから今度は右が大噴火の兆し。最初の頃は同病の鳥飼とお互いの耳鳴りの音を確認しあったり(「私の耳鳴りは『みー。』ってかんじ、そっちは?」「私は『ミーだ。』」みたいな)ものだけれど、最近は「こちらは、アブが」「こちらは猫が・・」でお互いなんとなくわかってしまう、恐ろしさ。
そう、今回私は猫。まったく、家にも猫、家の外にも猫、耳の中にも猫だ。ミーミーミー。と。しかし、その猫もだいぶ静かになって、今はぴったりしたゴムの水泳帽を被っているような感じだ。
ゴムの水泳帽なんて、今の子供は被るのだろうか。私のは耳の辺りにゴムでできたヒラヒラした花がついていたっけ。そうして帽子とおそろいのビーチサンダルを履いていた。

外の猫は、日ごとに大きくなる。ぎいやんの顔には時々傷がついている。きっと誰彼と無く甘えて、ひっかかれるのだろう。ぎいやんもタロウも白地に黒鯖ブチなのだけれど、ぎいやんはその鯖ブチが茶色っぽい。コレって三毛って言えるのかしら。オスの三毛はいないと言われているから、ただ黄ばんでいるだけかもしれない。