窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

ネコダヨリ

M亮から「猫だより見たよ。」と、メールが来た。
猫びより」ですがな・・・。
でも、ネコダヨリもいいかも。「猫便り」あるいは「猫頼り」というのもなかなか愛らしいではないですか。
季節のせいか、これまで見たこともなかった雄猫達が、家の周りをワフワフと勇ましい風情で歩いている。皆忙しそうで、私が声をかけると振り向いて一瞥するだけで、トットと行ってしまう。
「ええい、俺は忙しいんだ。人間ごときが声をかけるんじゃねえ。振り向いちまったじゃないか。ちっ!」と、彼は言い、またスタスタと歩いていってしまう。茶虎の子、バットマン顔の子。そういえば、頭の小さい黒猫をみかけない。縄張り争いに敗れたのだろうか。今思うと他の子と比べると尻尾短かったしな。
私は茶虎の猫がお気に入りだ。家の猫も一番最初に仲良しにしてもらったのがヒロエサンの家の茶虎の猫だったせいか、茶虎の子に目がない。しかし、この近所を徘徊している茶虎の子はそんなことを知らないので、私や家の猫が「カムバーック」と呼びかけても尻尾を立てて去っていく。その後ろ姿はなかなかハードボイルドだ。