窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

冬の日

 寒い1日。風も強いようで、ガラス窓がなっている。昨日は昼に電話があり受話器を取ったらS野氏だった。「歌ってもいい?」と言っていきなり「林檎の木の下で」を歌い始めた。歌詞が違っているので、指摘したら叱られた。いつものように脈略の無い話をして、突然話が終わって電話を切った。今日は版画を刷っていた。しかし寒いのでじっとしていられない。ストーブはゴクゴクと驚くほどの量の灯油を飲み込んでいる。

 仕事の版画はほぼ完成に近い。完成に近くなると幸福な気持ちになる。そうしてまたそれを味わうために制作を始めるのだ。