窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

ダンナを見なくなってどれくらい経つだろう。人間のダンナではない。猫である。以前裏の農家のおばあちゃんが枕のように抱えていった、薄茶色のひとなつこい猫のダンナ。アカやハケや大ちゃんはダンナを怖がっていたけれど、そんなに意地悪そうではなかった。道を歩いていても声をかけると、「バーバー」と言いながら頭を寄せてきたし。
お隣の奥さんも「最近見ませんね。あの大きな薄茶色の・・・」と話している。ダンナと呼んでいるのは私だけなので、外の猫の話をするときは、アカ=茶色い虎の大きな猫 ハケ=白黒の猫 パルル=縞の薄い茶色い猫。と、様子を説明しなければならない。

近所の電信柱に「猫を探しています。」というモノクロコピーが貼られているのを発見した。
「人懐こい。薄い茶色の縞模様。名前はミャーちゃん」モノクロの写真は地面の上でフクフクした顔をして、仰向けに転がっている気のよさそうな猫が。もしかしたら、これはダンナではないか?3月ごろからいないというので、だいたいそんなころから姿を見なくなったような気もするし。帰ってからマックに入っているダンナの写真を見て、しっぽの形を確認する。違うようでもあり、そのようでもあり。

「ミャーちゃん」か・・・。早く見つかると良いのだけれど。