窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

68万部

29日は村上春樹の新刊が発売されて、勿論私は買いました。近所の本屋で平積みにされていて。
発売前に増刷されて68万部というけれど、私には天文学的な数字でよくわからない。

その日はパソコン仕事を終えて帰宅して、無理かも知れないとは思ったけれど読み始めるのは〆切りが控えている仕事をしてからと、自分に言い聞かせつつ、夕食をとったらいきなりめまいの発作に襲われた。
とりあえず横になると治まったので版画の準備をしていたらまたもや眩暈が始まって、もうこれは今日はダメだなあ。と思っていたら、終えたばかりの仕事先からわからない事が出てきたと電話がかかってきて、電話の途中から既に最悪の感じになってきた。
やっと電話が終わって横になるとまた少し治まったので、なんとなくそばに置いた村上春樹の新刊を手にっとって数行読み始めたら、また気持ちが悪くなってしまった。
勿論眩暈と本の内容は関係はなくて、普段はパソコンの画面をスクロールしていると眩暈が発生する事が多いのだけれど、本の文字を追うだけでこんなことになるとは情けない。しかし、最初の数行を読んだら私はどうしても続けて読みたくなって、時々目を閉じながら続きを読んだのだけれど、よけいにグルグル廻ってきて気持ちが悪くなってしまったので断念して寝る事にした。


次に目が覚めたのが2時くらいで、寝たのが9時くらいだったからけっこう寝ていたのだけれど、まだ眩暈は治まっていない。それからまた寝てしまって次に目が覚めた時には朝の8時だった。
眩暈が出たのはこのところ寝不足だったからとしか考えられなかったけれど、それにしても随分長い時間寝てしまった。まだふらふらするけれど、とりあえずは起きて版画を途中まで作って、いそいそと本を読み始めると数頁読んだら又眩暈がひどくなってきたので、止めて朝食を食べて、ぼんやりしてから又読み始めると、今度は大丈夫だったので続けて読まずにはいられずにしばらく読んでいたら、又眩暈が始まったので諦めて横になった。
また少し治まったので、とにかく版画は作り終えて、また寝て、目が覚めて眩暈が治まっていると、本を読み、読んでいると又眩暈が始まって又寝て、起きて本を読み、何かを食べたり飲んだりして、また寝て・・・ということの繰り返しで、こんなに体調が悪くなりながら本を読んだのは生まれて初めてかも知れない。