窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

コメタロウ

上野動物園には、二匹のツチブタがいた。ヨシコとシゲオ。私が初めて見たのはこの二匹だった。
ツチブタは夜行性なので、夕方の餌の時間までは小屋の中でゴロゴロとしている。餌の時間になると、飼育係の人に追われるように小走りに外の運動場に出てきて、ンゴンゴという感じで、餌をむさぼり食っている。

シゲオはヨシコに比べると、少し小振りでご飯の食べ方もやや品があったように思う。そうして食欲もヨシコの方があるなあ。と思って見ていたのだ。それからしばらくしてからシゲオは死んでしまった。と通知があった。(通知があったといっても、動物園のメルマガで)
そして、新しい夫のコメタロウがやってきたという。私はまだコメタロウを見たことはなかったけれど、サイトの写真などではシゲオの時と同様に仲むつまじく餌を食べていたり、転がっていたりする画像を見かけることがあった。ツチブタ好きは、すごく少ないようだけれど、一応いるのだ。

そして、この一月また訃報が。
コメタロウが心臓マヒで死んでしまったというのだ。もしかしたら子供が産まれるかもという期待があったようなので、さらにがっかりだ。

ツチブタの小屋の側にいた、憂鬱そうな顔のタテガミオオカミは数年前に子供が産まれた。私が見たときにはタテガミオオカミは本当に寂しそうで、もう世の中の苦労を背負って、タテガミを夕暮れの風になびかせて、やっとの思いで立っている。といった風情だったので、そのニュースを聞き子狼の写真を見たときには、とてもうれしい思いがしたものだった。
そして、タテガミオオカミは元々の地顔が寂しそうに困ったような顔をしているだけで、やっとの思いで立っているというように見えたのは、普通の狼よりも足が細くて長いからだということも、わかったのだった。

そんな色々な発見のある動物園に、また行ってみようと思ってます。
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