窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

セルフビルド 矢津田義則

年末の個展の時に、矢津田さんが来てくれた。彼は陶芸家で私は彼や彼の奥さんの焼いた陶器を日常使っている。私の家に来た友人達の多くは、その器を手に取って気に入ってくれる。
矢津田さんは、益子に住んで自分で建てた家に住んでいる。自分で家を建ている人は私の周りにも何人かいるが、日本中のそういう人を訪ねて、彼は本を作った。

セルフビルド―家をつくる自由

セルフビルド―家をつくる自由

自分で家をつくる人の本は、なんだか最近たくさん出ているらしいが、実際の作り方の本が多い。でも、その家に住む人たちの現実の住まい方のほうが、私は面白いように思う。家の中の細々したディテイルの写真を見るとほほ笑ましく思う。
ここに収められている人たちの家は、どれも本当にうらやましい限りだが、やはり矢津田邸はすごい。昔、私たちが遊びに行った家も素敵だったけれど、新しく建てた古民家を移築した家も圧巻というかんじ。

この本の中には、家をずっと作り続けているような人もいた。私の友達の丹羽君は、仲間内から「ライフワーク」と言われながらもう10年近く経つのにいまだ完成をしていない。しかし、もしかしたらセルフビルドの人たちにとっては、家作りはずっと続いていくものなのかもしれないと、この本を読んで思った。

陶芸作家・矢津田義則 work on web