窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

その後のギイヤン

仔猫を連れて行っていただいたさかいさんとMさんが、ギイヤンを保護すれば病院まで連れて行こう。と言ってくださったので、夕べ仕事から帰った私を見つけてやってきたギイヤンを捕獲。夜に家にいれたのは初めてのことだった。
家の猫は、歳を取っているし感染しやすいから近寄らせたくないのだが,こんな時間に顔見知りとはいえ他の猫が入ってきて落ち着かない様子だった。
足の様子を見ると,前日になかった後ろ足の膝に擦り傷があった。多分足を擦って歩いているからだ。それで爪を切ってやり傷を消毒してからご飯を食べさせた。柔らかい方が良いかもと、缶詰をやったら大食い。いつものカリカリはあまり食べないので食が細いのかと思ったら,単に好き嫌いが激しかったのだ。

満腹になって暖かくなったらおとなしく寝付いたのだが,私が席を立つと眼を覚ましてオロオロウロウロし、家の猫も怯えだした。仕方なくケージに入れたら大鳴き大暴れとなってしまった。ケージの外に出すと,また大人しく丸くなっている。少しでも私が席を立つと,オロオロ・・・の繰り返しだ。そのうち外に出たがってまた窓に当たったりし始めて、引き戸を勝手に開けて逃走してしまった。それが夜中の3時。うう。


(落ち着いたギイヤン。タロウと顔の大きさが違う。)
明け方、引き戸を開けて網戸にしておいたら,縁側の下にいつのまにかギイヤンが来ていた。
玄関を開けたとき、通りを挟んだ猫好きらしい奥さんのいる家の植え込みの中から、私の家の玄関を伺っている姿が見えたのだ。
向こうも私が起きたのをみて、通りを渡ってきたのだ。
足には新しい傷は出来ていない様子。ご飯をやっても殆ど食べない。まあ、夜中にあれだけ食べればお腹もすくまい。そしてカリカリだし。残りは先にきていたタロウが食べた。そうしているからこんなに大きさに差が出来てしまうのだ。ギイヤンはタロウといると大人しく落ち着いている。

慣れていると思ったけれど,やはり2年近くのノラ生活で猫ちゃんのように大人しくしていられないのだ。Mさんに朝から電話を入れ、病院をキャンセルしてもらった。朝早くなのに、Mさんは親切に色々と心配してくださって恐縮してしまう。ありがたいことだ。しかし、ノラ暮らしを侮った私が甘かった。

ギイヤンが出て行ってから,家の猫は落ち着きを取り戻した。やはりなかなか難しい。ギイヤンにはかわいそうだがこのまま自然治癒してもらえることを願いたいのだが。やはり、心苦しい。人間の都合で病院へ連れて行かれなくて、いいのか・・・。
来月頭から仕事が3つバッティングで月末から個展。まにあうのかーーー。ぐったり。