窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

軒下に猫が来る。私が餌をあげるからだ。こなつと4匹の子猫は、食べ終えるとゾロゾロとどこかへ帰っていき、その後に残り物を狙って気弱そうな黒縞模様の猫が2匹来ることがある。どちらも鯖虎というよりも、黒っぽい。1匹は前にも書いた垂れ目の猫だ。2匹ともオドオドとしている。時々こなつにフハァーと吹かれて、後ずさりをしている。
この界隈で一番強そうなのは、黒猫だ。黒猫といっても真っ黒の(頭の小さい)子ではなくて、白い前掛けをして、白い靴下をはいていて、白いヒゲの黒猫だ。そんなふうに書くと、なんだかチェーン店の居酒屋の店員さんみたいな出で立ちだけれど、一応その前掛けの黒猫が一番権力を持っているようだ。

この辺りは、清瀬のように畑ばかりということもないので、冬でもソコソコ過ごしやすいのか猫達は健康そうに見える。清瀬の野良猫達は、冬になると畑のあちこちで、鼻水を固まらせてまるで寒立馬のようにじっとたたずんでいたものだけれど。
朝晩涼しくなってきた。こなつの子供達にとっては、今年が初めての冬だ。皆どこで過ごすのだろうか。