窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

ムカデ

今年もクーラーを飼わずに夏を越すつもりだ。網戸にして、家中の窓を全開にしている。
仕事部屋に入ると、白い網地のカーテンに何か紐状のものがくっついていた。近寄ってみるとムカデだった。
ぐえ。目を疑った。
普段だと私は何でも掃除機で吸ってしまうのだけれど、ムカデはなんとなくはい出してきそうなのでやめた。網地に絡まっているようなので、とにかくカーテンを取り外し、外に持っていって洗剤をかけたらはい出してきて死んだ。
そうして、丹羽君に電話をかけた。丹羽君の家はムカデが沢山出るのだ。防御策を伝授してもらおうと思ったけれど、あまり効果のあるものはないようだ。とりあえず、お薦めの「ゴキジェットプロ」を買うことにした。
「どのくらいの大きさ?」と訊かれたので、
「うーん、15センチ弱」
「でかいなあ。」
「でも、やせてたよ。太さは1センチ弱」
「十分でかいよ。成虫だ」

丹羽君には、よくカーテンを外す余裕があったなあ。と感心されてちょっと得意になった。

丹羽君も生まれも育ちも東京だ。とはいえ、都心でも今の郊外くらいには子供の頃は今よりも自然が残っていた。「子供の頃も本物のムカデなんて見たことなかったよね」と、お互いに言い合った。
後になって気がついたのだが、私の家では鶏やアヒルを飼っていたせいでいなかったのかもしれない。
今の家の軒先で、鶏やアヒルを飼うことを想像してみた。水路にアヒルを泳がしたら楽しいだろうと思うけれど、水面までの距離があるので、アヒルは岸に上がるのが大変だ。鶏も、軒下だけでは狭いだろう。
常勤の猫も数匹いるし・・・。