窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

牡蠣

数年前に家で牡蠣を食べたときに、初めてあたった。2度。1度目は飲んでいたので飲み過ぎだったせいかもしれないと思い、翌週もう一度食べてみたら見事に具合が悪くなった。1度目は生牡蠣だったけれど、2度目は火を通していたのだ。そうして2度目の方がひどい症状だった。
それから牡蠣を食べていなかった。牡蠣で中毒になった人はアレルギーのように抗体ができてしまう。というようなことを、昔人から聞いたことがあったのだ。私はもう一生牡蠣を食べられないのか〜。しくしく・・・。

冬になりプリプリとした牡蠣が店先に並んでいるのを横目で見ながら(食べ物で嫌いなものがない私だから、一つくらい食べられないものがあってもいいのではないか)と自分を慰めていたこの数年だったのだが、先日ラジオで牡蠣の特集番組をやるというので聞き耳を立てた。どうにかして又牡蠣を食べることが出来ないものか。という食い意地からである。
ラジオでは食の研究家の様な人が出ていて、牡蠣にあたるのはノロウイルスというもので、云々。これは熱には弱いのでちゃんと加熱処理すれば大丈夫だという話。その番組の中では一度あたると抗体ができて・・などという話はひと言もなかった。
それで、私は意を決して近所のスーパーで新鮮な牡蠣を買い求めた。鍋に入れて用心のためによく火を通し、煮すぎたために小さくなってしまった牡蠣にレモンを搾ってひとくち。うまッ!!一つ食べればいくつ食べても同じこと。半分は蒸し焼きにしてパクパク食べ続けた。
結果は、太った以外なんともなかった。めでたしめでたし。