窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

買い物に出たら、平日というのにけっこうな人出であった。駅前広場の野菜市場は初の入場制限となり、小さな空き地に人がひしめいている。少し高くなった駅の階段から見下ろすと、奇妙な気がする。テレビのニュースの年末の買い物風景を見ているかのようだ。しかし、私もその中に入った。

市場には、小学校に入るか入らないかのお下げ髪の赤いほっぺの女の子を連れた中国人一家が買いだしに来ていた。彼らを見るのは3度目だ。いつものように親が他のものを選んでいる間、女の子達は既にカゴに入れた白菜やキャベツの山の前にしゃがんで番をしている。そのうちなぜか一人が泣きだして、戻ってきた母親に何かを訴え始めた。母親は中国語で「×××○○△!!」と、なんだかわからないけど、怒鳴りながら女の子の頭をはたいたりしていて、一緒に来ているおじいさんや他のおばさん達がそれを見て笑いながら中国語で話している。
そんな光景を見ていると、私自身がまるで中国の市場に買い物に来ているような気がする。彼らはいつもものすごい量の野菜を買っていく。白菜とキャベツだけでも数十個。お店でもやっているのかと思う。

駅前の人込みを抜けて、家の近くの公園を通ると、池のカルガモ達がツ・ツ・ツーと泳いでいる。多い。なんと7羽。この間は、2羽だったのに。
 直径50メートルあるかないかというくらいの池である。3世帯半。半がどれなのかわからないけれど、皆が卵を孵したとしたら、20羽前後になってしまう。これはいくら何でも多いのではなかろうか。そのうち、1羽が羽ばたきながら、他の鴨が近寄るとけ散らすようにしている。あれが半なのか?
しかし、カルガモは雄雌の区別が付きにくい。というか、どの鴨も一緒。年の瀬だと言うのに、みんな呑気そうだ。