窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

公園

風邪は結局治らない。ついに鼻と喉に降りてきた。吸入をしたり栄養をとったり、早めに寝たりしても、結局いつもの順序を踏んで、気管支まで降りてくるのかもしれない。栄養をとって寝ると太る。何も良いことはない。

明け方目が覚めて、熱っぽくてウトウトしていたら、ラジオから「風邪の原因と風邪をひいたらどうするべきか。」というタイトルでお医者さんらしき人の話が始まったので、耳だけ起きたような状態で聴いた。「風邪の原因はウィルスで・・云々・・・インフルエンザと普通の風邪の違いは・・・云々」
既に風邪をひいている私は、早く「風邪をひいたらどうするべきか。」という話に入らないかと待っていたのだけれど、「それでは、明日は『風邪をひいたらどうするべきか』について、お話いただきましょう」と、アナウンサーが言って、そのコーナーは終わってしまった。

朝、駅まで行った帰りに公園の中を通ると、小雁さんと 京塚さんの姿が見えた。遠目には京塚さんは植え込みの陰に鴨座りをしていて、小雁さんが京塚さんに紐を付けてその紐を引いているように見えたのだけれど、近づいてみたら、座っている京塚さんを小雁さんが柳の枝でつついているのだった。
小雁さんは「それっ、ほれっ」と、掛け声をかけて、柳の枝で京塚さんのわき腹をつついているのだけれど、京塚さんはもっちりとした体で座ったままで、目を見開いて無表情のままだった。通りすがりに私は思わず笑ってしまい、小雁さんも照れたような笑いを浮かべていたのだけれど、それでも小声で「それっ」と言いながら、京塚さんをつつき続けていたのだった。

池に新しいカルガモが来た。このところは、コサギチュウサギが居て、それから見たことのない鴨が1羽で泳いでいただけだったのだ。見たことのない鴨は、調べても種類がわからなかった。全身が焦げ茶で、頭はビロードのようにやわらかそうのだけれど、毛足がモサモサとしていた。見かけたのは1羽だけで、2,3日すると見えなくなった。なかなか愛嬌のある顔でだったので、残念だった。
今度やって来たカルガモはツガイなので、この冬ここでまた卵を孵すのだろうか。躾の悪いガキどもに虐められなければよいのだが。