窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

 ヌルイ一日で午後から雨。午前中、猫は私の後をついて回っていた。私が2階に上がってくると、階下で小鳥のように気のない感じで鳴き続けている。同じ高さで同じ間隔を空けて「にゃー・・にゃー・・」と、ドレミの「ミ」の音ぐらいの高さで。無視していると階段を上がってきて足元で鳴き続けるので、ひざに乗せると相変わらず私の方を向きなおり肩に前足を乗せてアゴの下に顔を付けてグルグル言っている。首をつまんで無理やり剥そうとすると肩に置いた前足に力が入り、まるで崖から落ちる寸前でしがみついている人のように、必死の顔をしていた。