窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

ねじまき鳥のクロニクル

「ねじまき鳥のクロニクル」を2巻まで読んでパソコン仕事。出た当初に読んだときはなんだか私にとってはよそよそしい気がしていた。それまでのデタッチメントから責めていっている物語の方が自分には近しかったのだ。今読むと少し違う。

 私は長い物語が好きだ。長い物語を集中して読んで、閉じた本を眺めているとこの数センチの厚さの中に、今見てきた情景が聴いた声が出会った人たちが住んでいるのだ。と思うと胸が痛くなるような感じがする。

 しかし、見事なまでに忘れている。2度も3度も楽しめていいのだけれど、あまりに覚えていない自分が心配になる。