窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

夏の猫

 家中にダンボールの山が築かれている。「築く」という言葉がぴったりだ。家の猫はダンボールを踏み台にして、タンスの上で寝ていることが多い。そんなふうに色々なものが積み重なっている状態は彼女にとってあまり喜ばしいことではないようだ。。私と同様に「暑苦しい」と思っているふうであまり機嫌が良くない。部屋の様子が変わって私の姿が見えないと不安になるらしく、いつもよりもよく鳴く。今もパソコン用の椅子に横になっていて、私と背もたれの間に挟まっていて私の腰の辺りは暖かい。手を後ろに回してお尻を撫でると、ギュルギュルと嬉しそうに鳴いている。暑くないのだろうか。私は暑い。