窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

家探しは続く(その3)

ここは?と思うマンションの画像をググッテいると、マンションの入り口にかかっている管理不動産屋の看板をみつけたので、それをネットで調べて尋ねることにした。
しかしそのマンションはあまりお勧め物件ではないらしい。庭付きと出ていたけれど実はただの通路。そして絵の教室などはやはりマンションでは不可だった。まあ駄目で元々なので、一応そこに私の希望を書いて置いて駅へ向かう途中で又不動産屋を発見したので立ち寄ってみた。
古い戸建は1件だけしかないとのこと。しかも私の今の住まいよりも狭くて1万円も高い。ここでも今の家が窪地とはいえどもお得な家ではあるといわれる。まさに窪地ではあるけれどもと。
これまで殆ど図面上だけで挫折しているので、一応出されたその家を外側だけでもと見に行くことにした。
この辺りは駅の北側で閑静な住宅地だ。建売ではなく注文建築のお洒落な家が多い。そんな中にところどころ古い平屋が数件固まって残っているが、私が紹介された家は新しい大きな家の間にひっそりと1件だけ建っていた。
思ったよりもきれいで門もあり植木が植えられている玄関を覗いていると、やはり家の脇を覗きながらなにやら話している年配の女性二人が話すのを止めて私を見た。
「こんにちは。私はここを不動産屋さんに紹介されて、外側だけでも見ようと思ってきました。」
と、彼女たちに言うと、彼女たちはここの家の持ち主の姉妹だと言う。大家さん自身は神奈川住まい。
そうして鍵を持っているから。と、中を見せてくれることになった。何たる偶然!これはまさにこの家を私が借りるべきなのか?などとちょっと思いつつ中を拝見した。
6畳2つと7.5畳の台所。広くみえます。。・・・普通に暮らすなら。
しかし私はプレス機持ちで絵描きです。売れなかった作品も本も、これから描くためのパネルも木版の板も持っており、電動工具も一揃い・・・。と。
しかし、床の間がある。私の好きな旅館ぽさをかもし出す小さな和室・・そして駅まで数分のクニタチライフ。
などなどと、色々思い巡らせながらお礼を言って不動産屋へ戻った。
不動産屋さんが大家さんに電話をかけてくれて、信用できそうな人なら貸します。ということで、不動産屋さんは私を信用してくれて、しかも家賃も5000円下げてくれることになった。そのくらいなら絵の教室をやれば大丈夫だ。と思いながらも、一応一晩考えてから返事をすることにした。