窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

家は全く決まらないまま、ダンボールを積み上げている。不動産屋ではプレス機よりも猫というのがハードルが高いと言われた。
「猫が・・」と話したら、不動産屋の新入社員らしき青年が顔を輝かした。「20歳で盲目なんです」と言ったら、泣きそうな顔をした。がんばれ、若者!私もがんばろう!

その猫はと言えば、今日などは目を離していたら机の上に上ってウォウウォウと見えない目を丸く見開いて、天井を見上げて鳴いていたりする。
しかし、20歳。この猫が死んだら、もう動物は飼わないと常日頃ひたひたと思っているのだけれど、今朝窓を開けたら、縁側に生後2ヶ月くらいの仔猫が座っていた。触っても逃げないのは、一件向こうの家の庭で生まれて世話をされているせいだろう。
「うわぁーーー。たまらんっ!ふわふわっ!」と思ってしまう自分がいることを再確認した。いかんいかん。日々戒めることが大事だ。