窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

落とし物について

電車に乗ってボンヤリと女の人達の顔を見ていると、
皆さまざまな顔をしているのがわかる。まあ、当然のことだが。
それでも化粧には共通する物がある。
それはつけまつげ。いつの頃からか付けている人が多くなった。

ナチュラルなものから「これから宝塚のステージですか?」と訊きたくなるほどのものまで様々。
もし、私が今大学時代を過ごしていたとしたら、絶対つけまつげを付けてるだろうと思う。それもかなり長いやつを。そしてバサバサとまばたきをしながら、学食で大好きなオムカツを食べていたに違いない。


今はただそんなことを考えながら、窓ガラスに映る輪郭のはっきりしなくなった自分の顔をボンヤリと見るだけだ。

ところで、さっきから、気になっている足元に落ちている何か。



なんだろう。とじっと見て判明。

つけまつげ、しかも片方。
落とし主は・・既に周りにはいないようだった。