窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

トイレの絵

久しぶりにトイレの絵を掛け替えた。
家には勿論自分の絵が沢山あるわけだが、自分の作品だから
愛でるというわけではなく、仕舞う場所がないので出ているといったかんじ。
だからと言って、やたらと壁に掛けるのも好まないのだが。


私の絵を買ってくれた方達は、なぜだかトイレに飾っていると言う方が多い。
確か画廊のIさんも、幸三郎さんも。親友のめりいも、以前行っていた美容院も。
画廊にみえたお客さんも、一人が
「市川さんの絵はトイレに掛けてるのよ。」と言うと、もう一人が
「あら、私も。」なんていうことが多かった。
版画であれ、絵であれ。
普通今のトイレは洋式なので、落ち着く空間であろうと想像する。
ありがたいことである。


我が家は築40年くらいの借家であり、トイレは和式だ。
和式のトイレの絵というのは、洋式のそれとは何となく趣が違う気がする。
ドアを開けて正面に絵が掛かっている。

なんだろう。
「どうだ。」ってかんじよりも、古びた天井や窓と一体化しているというか
その空間を引き連れて、違和感がない状態をかたどっているようなものが好ましい。