窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

水彩画教室

今日は週に1度の水彩画教室だった。そう言うと「習ってるんですか?」なんて言われたりするけど、一応教えている。のです。でも、習っているに等しいかも。生徒から教えられることは多々あるので。

今日は新期が始まって3回目だった。今期から始めた人は最初に尋ねると「まったく描いたことがない。」と異口同音言われたけれど、本当に水彩画をやったことが無かろう。という人は多分一人。描き始めてみるとわかる。けれど、描いたことは無かろう。と思われる人がすごくいい絵を描かれたりする。もうびっくり。セオリーなんて無視なんだけれど、そしてものすごく雑なんだけど。うわー。と思うくらいによかったりする。でも、ご本人は全然それが良いとかわかってない。私がそれを力説すればするほど、私の言っていることがその人の反対側の耳から出ていっているのがわかる。

いつから教室が始まったかと、調べて見たら10年も前からやっていた。一番最初のクラスは、凄いインパクトだった。
アスパラガスをモチーフにすると「遠近法で描くんですか?黄金分割は使うんですか?」と尋ねられたり、描き始めて10分もしないうちに描くのを辞めて歩き回り、皆の絵を見ては大きな声で批評を始める人や、そして席は皆縦一列に並んで描きながらワイワイと話していて、まるでバス旅行に引率している教師の気分だった。

当時のクラスの時からずっといらしていた人が一人だけいた。彼女はしかし九州に引っ越してしまった。その後こちらに遊びに来た時に会って当時のことが話題になると「凄いクラスでしたよね。」と笑っていたので、そう思っていたのは私だけではなかったとわかって少し安心したのだった。
あまりに突飛なクラスだったので、私は「水彩画教室日記」をつけていた。今読み返してもめちゃくちゃ可笑しい。みんなどうしていることか。