窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

選挙

選挙速報があるので、久しぶりにテレビをつないだ。

すごいなあ。と感心するのは、選挙結果ではなくてCG。ニュース番組があると私がいつも目を向けてしまうのは、その報道に使われているグッズとかそういうもの。
昔は、ほら、何かあったりすると模型とか、人形とかの立体物で説明していたでしょう。ああいうのを見るときっと徹夜で作った人がいるんだろうなあ。と思ってしまう。


昔々、学校を出たばかりの頃に、商業デザインの会社でプレゼンテーション用の模型製作のバイトをしていた私は、だからどうしてもああいう模型を見ると、(きっと急場で大変な思いをして作っている人が入るのだろうな)と想像してしまうのでありました。
私がバイトをしていた頃は、まだコンピューターなんてなくてすべて手作業、アナログの切ったり貼ったりスプレーで色つけしたり。所属していたスタジオの社長の「これからは、コンピューターグラフィックで簡単に立体ができるようになるんだぜ。」と言う言葉をぼんやりと聞いていたものでした。

「イッチャン!(好むと好まざるとこういうふうに名前を呼ぶ人が、色んなバイト先にいたものだ)もう、模型なんて作らなくてもよくなるんだぜ。これからはコンピューターでさ、スリーデーだ。模型なんて作らなくても大丈夫だよ。ラクチンだぜ。」と、社長は言った。
「そうなんだってさ。」と私が模型仲間の岸君に言うと、彼は、
「市川さん、つまり今度はまた誰かがコンピューターを覚えさせられて、徹夜してそういうのを作らなくてはならない。ってことだ。おんなじ事だよ。」と言った。

コンピューターが導入される前にそのスタジオは無くなってしまったし、それよりも前に私は辞めたのでその後どんなふうだったのかは、残っていたバイト仲間の話を聞くしかなかったけれど、いずれにしてもこういったニュース番組を見るたびに、私は岸君が言っていたような「誰かが徹夜で作ってるんだな。」ということを一番に思ってしまうのだった。

今はCG。自民党がこれだけ、民主党がこれだけ。とピョンピョンピョンと人型が増えたりして、こういうのはけっこう簡単にできてるのかなあ、何十人。なんて言うと(リアルタイムで誰かがキーボードの操作とかしてるのかなあ。1度プログラミングしておけば、何回も使い回しができるからけっこうラクなのかしらん。)等と思ってしまうのだった。
勿論、前の選挙の時は筑紫さんがコメントしてたんだな。と思ったり。