窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

一ヶ月

アーニャが子猫を生んだのが5月2日。引っ越していったのがちょうど一ヶ月ほど前だと思う
そして恐れていたことが・・・・。
アーニャが「ナーナー」と宙を見つめて鳴きながら、隣の家へ入っていった。ふと見ると、塀の下を覗き込んだまま固まっているタロウのお尻が見えた。しばらく経ってもタロウは「飛び込み台からプールに飛び込む寸前」と言った形のままで動かない。それで何があるのかと、私も外へ出てタロウの隣から覗き込んでみた。

まだ首がしっかりと座っていないのか、頭をゆらゆらさせながら3頭身くらいの子猫が走り回っていた。
4匹。アーニャの子供の割に目が小さくて白い幕が張っているように青い。猫というよりも、アライグマの風太っというかんじの顔だ。まだかわいくない。Mの字が濃くて耳が大きく、スポック(スタートレックのね)のようだ。もう少ししたら猫らしい顔になることだろうけれど。
どうやら隣の家のクーラーの室外機の下にいたらしい。だからアーニャは私の家で平気で長居していたのか?それともここ数日の間につれてきたのか。



みんなで塀の上によじ上ってこっちを見ている。毛が長いのもいる。皆あまり人見知りしない・・というよりも怖くて動けないのだろうか。
タロウは、興味津々で近くに寄ってかまっていたのだけれど、ぎいやんの方はやはりだめらしい。生まれた時も嫌がって一時アーニャの近くに寄り付かなかったのだから。ぎいやんに子猫を見せたら、ハーハーと吹いて怒ってから私の顔を見て訴えるように「んぎぃーーーー」と鳴いた。私も心の中で、塀からこっちはきてはいかん。と、言ってみたのだった。