窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

襲われる

相変わらず子猫を連れたコナツが軒下に来ている。ご飯を食べ終えると、私が洗濯物を干しているすぐ足元でごろりと横になった。すかさず子猫達がワラワラと集まってきて、オッパイを飲みはじめた。コナツは機嫌良さそうに目を細めていた。
やや嫌な予感はしたので、洗濯物を干し終えた私は部屋へ入るのにもそぉーっと足を動かした。そうして一歩踏み出したその途端、子猫達が飛びのいてそれでコナツもびっくりしたのか鼻を膨らませてファーッと言いながら、縁側に上りかけた私を追いかけてきてジーンズの裾を引っかいた。しかも後ろから。
私は急いで部屋に逃げ込み、まだ部屋の中を怖い顔でのぞき込んでいるコナツに「卑怯者め!」と言ったのだった。