窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

遠近 (第12号(2006年8・9月号))

遠近 (第12号(2006年8・9月号))

というわけで「遠近」を麦谷さんから送っていただいた。どうもありがとうございます。

安西さんの文章が面白かった。そうして各国で刊行された翻訳書の装丁の写真。これまでも洋書売場などで英語版は見たことがあったけれど、何でこれがこうなるんだ?みたいなものが多かった。こうして並んでいるのをみるとフランスやスペインの装丁も笑える。というか・・その昔「芸者さんがお客さんを三つ指ついて迎えている様子の写真を色んな国の人に見せる。」というテレビの企画を思いだした。内容は殆ど忘れたけれど、フランスの大手の新聞社の編集長が自信をもって『これは奥さんが旦那さんを出迎えているところだ。日本ではこれが普通なのさ。』と答えていたのには驚いたものだ。ここに掲載されている『国境の南、太陽の西』(フランス)『ノルウェイの森』(スペイン)の装丁を見ると、その当時と日本の印象は変わっていないんじゃないかしらん。と思う。本誌で四方田犬彦氏が「日本的ステレオタイプの不在」と書いているけれど、それが業界に浸透するまではまだ時間がかかるということか。
そうしてみると、安西さんや和田誠さんのイラストを流用したのは当然のことながらしっくり来る。安西さんのイラストがハングル文字にはまってサルの顔がアジア人の顔に見える。

ところで「遠近」は奇麗な雑誌だった。何となく「東京人」を思い起こさせる。次号特集は『日本のアニメーション』だそうだ。とりあえず宮崎アニメではありませんように。