窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

初詣


昨年は元旦朝に雪を踏みしめながら近所の神社に初詣に行ったのだが、神社には誰もおらずお札売も閉まったままで、初詣をして帰ってきただけだった。そこで今年は!と思って年明けてすぐに行ってみた。
私の生まれた町の神社は椎名町の長崎神社で、それはけっこう大きくて初詣でには長い行列ができるほどだった。お神楽の舞台もあって、大晦日から元旦にかけて、そこでお囃子や舞が舞われたりしていたのだけれど、去年越してきたこの町の神社はとても小さくて、いつ行っても人をみかけることもなかったし、去年の元旦もそんなだったから、私は侮っていた。
それで12時を少し回った頃に行ってみると、神社の前の道路には境内からはみ出した人の長い行列で、結局1時間近く並ぶほどだった。境内には直径1.5メートル程の大太鼓と小ぶりの太鼓が並んでいて、ひっきりなしに誰彼が叩いている。近所迷惑も顧みず・・・というかんじだけれど、まあ大晦日だし。
戌年だからか、犬連れの参拝客も多い。そのうちの殆どがミニチュアダックスだ。皆Tシャツなんぞ着せられて、太鼓の音に驚いたのか、神妙な顔をしていた。
さほど広くない境内の中央にはドラム缶二つのたき火が炊かれ、隅にテントが建てられて甘酒と日本酒が振る舞い酒として用意されていた。呼び込んでいる法被姿のおじさんは、かなり出来上がっている様子。張り上げている声もかすれがちで、同じことばかり言っている。
お参りを終えて、私は迷わず日本酒の方へ。塩付きの升酒を飲んだのは久しぶりだ。お代わりをしている人もいたけれど、私はその前に友人宅で年越し蕎麦とお酒を飲んでいたので、一杯で止めてお札を買って帰ってきた。(偉いっ!)
朝になって神社の前を通ったら静まり返っていた。なるほどこの神社は、毎年夜半から明け方にかけて燃え尽きてしまうのだろう。

いつもの公園には、朝から京塚さんと小雁さんの姿があった。橋の欄干にちんまりと座った京塚さんを、小雁さんがなだめていた。通り過ぎて公園の出口で振り返ると、京塚さんは柳の木で伸び伸びとしながら爪を研いでいて、目を細めた小雁さんが、腰に手を当ててそばに立っていた。

カルガモは2羽。アオサギ飛来也。

というわけで、今年もよろしくお願いします。