窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

家の周囲では日中は蝉の声があまり聞こえないのだが夕方になると、隣の家の壁にとまって鳴いていたりする。鳴き終るとたいてい低空飛行になるので、怖い。
今日は網戸にとまっていた。こちら側から指ではじいてみても、動かないので、そのままにしておいた。少しすると、昼寝をしていた猫が気づいてトコトコと網戸に向かっていき鼻を寄せていった。それでも動かずにいたのだけれど、猫が下がって座ってじろじろと見ていたら、急に気がついたように飛び立ってしまった。網戸が開いていたら猫は飛びかかっていたことだろう。猫が大病をする前の外に出ていた頃には、帰宅した私は悲しい姿の蝉やカマキリに遭遇したものだった。
そういえば、朝、軒下のニガウリの蔓に、カマキリがぶら下がっていた。大きさは中くらいのまだ若いカマキリで、緑色になりたてといったつやつやした感じだった。逆さにぶら下がって獲物を待っているのだ。カマキリは害虫を食べてくれるので、私は見かけるとつい「ごくろうさん」と、言ってしまう。