窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

kamaneko2005-07-29

ようやく夏らしくなってきた。今年はなんだかパワーがでない。ゴーヤを食べていないせいだろうか。去年までは日よけもかねて庭でゴーヤを作っていたのだ。毎日毎日見るのもいやなほど食べたもので、私にとって夏の大事なビタミン源であった。今の家は庭が軒先くらいしかないから、あまり強い陽があたらない。おかげで1階はクーラーがなくても全然大丈夫なのだけれど、ゴーヤには適さない。でも、一応昨年採った種を蒔いて、今は40センチくらいの丈にそだっているが、花はついていない。
夏前にパイナップルを食べて、葉を切って植木鉢に埋めたら根が出て小さな観葉植物状態になっている。根がでてくるのが結構早くて、すでに一回り大きな鉢に植え替えた。
先日あそびにきたTは沖縄っ子で、実家ではパイナップルも作っているという。夜呑みながらuzちゃんと私の前で「こうやって・・・」とカゴを背負ってパイナップルを収穫する動作をしてくれた。パイナップルは葉にとげがあって、長袖を着ていないと傷だらけになるし、長袖を着ていると暑くてたまらないのだという。彼女の話も動作も当然のことながら真に迫っていて、uzちゃんと私は感心しながら見ていた。Tが炎天下のパイナップル畑にいる情景が目に浮かんだ。

翌朝私の鉢のパイナップルをみせると、彼女は眉間にしわを寄せて「ヨーコさん、葉っぱ枯れてるよー」と半分裏返った声で言った。「先のほうはね。」と私が言うと、Tは不服そうに「私はパイナップルにはうるさいんです。こうやって。」と、またパイナップルを収穫する動作をした。彼女には植木鉢のパイナップルは多分ままごとのにせもの野菜のようにみえたことだろう。