窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

カワセミ

 朝、駅への途中にある公園を通った。今日はカルガモの姿はなく、何度かみかけたことのあるコサギと2羽のオナガが池の浅瀬で水を飲んでいた。彼らを眺めながら橋を渡っていると、青い鳥が飛んでいた。何日か前にも私はその姿をみていた。その時はまさかーー。と思って飛び去る姿を少し眼で追ったのだけれど確認はできなかった。そして今日、橋のたもとの杭の上にとまっているその小さな鳥はカワセミだった。私が橋を渡り終えて2メートル少しの所まで近づいても、逃げずに首をかしげている。私は立ち止まってじっと観た。朝陽を浴びてウロコのように青い羽が光っている。嘴はやや長く胸はオレンジ系で美しい。そこで携帯電話を取りだして写真を撮ってみた。私の携帯はかなり前のモデルでいいカメラは付いていない。晴天の下では画面を見てもカワセミをちゃんと捕らえているかわからない。ズームや露出を何度かを調節してる間も、カワセミはじっととまったまま首をかしげていたが、シャッターを押したらその音に驚いたのか飛び立って近くの木に移り、鳴きながら林の方へ飛び去っていった。駅へ着いて暗い場所で画像を見たら、案の定、写っていたのは杭だけだった。ワライカセミじゃないのに、笑われたのかも。