窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

自転車

 自転車に乗っていると鼻が赤くなる。顔もバリバリだ。こんな時期に単車に乗っている人を見ると、見上げたものだと思う。その昔私も乗っていたけれど、今思うと信じられない。信号待ちでは歯がガチガチと鳴り、タンクを押さえる腿が震えたものだ。しかし、自転車も寒いしその上力がいる。カブかなあ。やはり。以前町の小さなバイク屋さんで「お薦めですよ。」と言われたカブは、新聞配達の人が乗るような正真正銘のカブだった。スチールバーや荷台等がついていた。(私にこれを乗れというのか・・。)と思いながら店を引き上げた。荷物が運べるバイク。と言ったのは確かに私だったが、お店の人が本気で薦めることが気になったものだった。

 友人のT君が中古の部品を組んで作ってくれた我が7段ギアの自転車はギアが古くて外れがち。よって普通の自転車となった。あの時、自転車を引き渡してくれるのT君の不安そうな顔が目に浮かぶ。なにをそんなに不安がっているのか。だいじょーぶ、だいじょーぶ。と、私は小金井街道を猛スピードで走り帰ったのだったけれど、今となってはなるほどと思う。実はタイヤはバースト寸前だったし色々と難があったのだ。タイヤは変えてスタンドもつけた。かっこいいんだけれども…………。余裕が出来たらチューンナップしたい。いつのことやら。