窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

おからにシャンパン

 先日、テレビで内田百けんのことをやっていて、「『おからにシャンパン』は美味いらしいよ。」と、アシカ君からメールが来た。勿論私が百けん好きだと知ってのことだ。そういえばサライの特集にも載っていたかも・・・と思いだしたのだが、創刊号から数年分のサライは引っ越しの時に処分してしまったのだ。日本の甘いもの特集のようなときにも、百けん好物の大手饅頭が載っていたっけ。以前ヒロエサンが大手饅頭をお土産にくれたけれど、甘すぎて辛かったことも一緒に思いだした。サライの記事・・・そういえば豆の特集には〜などと考え出すと惜しいので忘れよう。

 引っ越しで処分した百けんのものには、やはりヒロエサンからもらったポスターがある。以前も書いたが、百けん先生が憮然とした顔で門の前に立っている写真の大きなポスターだ。私はこれを天井に貼っていたのだが、訪れた友人達にはあまり評判が良くなかったようだ。百けんを知っている人は「あー」と力なく笑い、知らない人は(なんでこんなおじいさんのポスターが貼ってあるのだろう)と、見てはいけないものを見た様な顔で何も言わなかった。引っ越すときに外してみたら、ポスターはずいぶん煤けていた。確か二枚もらったはずだし。と思いきって処分したのだけれど、越してから確かめたらもう一枚と思っていたのはポスターではなくて、同じデザインだがA4サイズのチラシであった。チラシを貼ってもなあ。というか・・。やはり百けんのポスターを天井に貼るのは変だったようなので、私はそれを再び巻いて仕舞ったのであった。