窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

 軒先には以前ほどではないけれど、多少のスペースがある。そこには既に見知らぬ木々が植えられている。持ってきた鉢植えの木をすき間に植えようか迷う。ラベンダーその他、洋物は似合わない。柘植が大きくなっていて、一応散らし玉仕立てになっているのだけれど、手入れをしていないためにパンク頭のようにボウボウとしている。刈り込みばさみで丸くサッパリとしたのだが、どちらかというと、私はスタンダード仕立てが好みなのだ。しかし、ここまで仕立てるには結構な年月がかかっていたろうと思って、とりあえずそのまま。その隣に今年の春に育ち始めたと思われる若木は、私が持ってきた鉢植えに似ている。これまで紙を作ってきた桑科の名前を知らない木である。が、同じものなのかわからないので、とりあえずそのまま。
 鉢はかなり整理してきたのだけれど、庭木は挿し木で育てられたものは持ってきた。その他に桃。数年前にヒロエさんから貰った桃を食べて種を庭に埋めたら芽が出てきたのだ。引っ越すことを考えて、鉢植えのまま小さく育ててきて、花が咲いたことはない。玄関脇に植えようかとも思ったけれど、軒先のすき間に植えることにした。
 外へ出たら、数件先の家にに大きな桃の木ある。大きい。家を覆っている。先ほど植えた私の桃を思い浮かべ、多少の不安がよぎった。