窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

引っ越し作業は続く2

 引っ越しを決めてこの1ヶ月近くの間、寝ようと横になっても「ああ、まだあの荷物をまとめていない。」「天袋にもまだ荷物がはいっている。」などと考えて眠れない日々が続いている。ダンボールが増えてきて居る場所が狭くなっている。猫もダンボールを上ってタンスの上で寝ている。上の方が暑いと思うのだけれど。そして、天袋の掃除をしようかと私が開けた途端に、中には入り込みかぶせ天井のすき間から天井裏へ入ってしまった。彼女にとっては初体験なので、鳴きながら家中の天井裏をドスドスと走り回っている。恐る恐る天井の板を持ち上げると、屋根のどこかから光が漏れている。これじゃあ雨漏りもするわけである。
 天井裏は、ものすごい熱気であった。このまま猫が閉じこめられては、薫製になってしまう。かつお節で釣って天井のすき間から引きずり下ろした。猫は煤だらけで、本物の竃猫になっている。やれやれ。しかしおかげで一気に天袋の荷物を引っ張り出して箱詰めが進んだ。