窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

紙漉き

今年の冬までに収穫した木の皮の束を、ずっと煮ていた。数年前に庭に勝手に生えてきたカジノ木らしき木で、紙をつくるためである。一番最初に作ったときは、売り物のように美しい和紙ができたのだけれど、その後は何となく冴えない。自己流なのでいけないのだ。木の皮を剥いて中の繊維を取りだして紙にするのだが、その皮が上手く取り除けない。一番最初は、苛性ソーダを使ったのですぐに取り除くことができた。今は灰だけ。灰もきちんと灰汁を取ったものではないので、皮が解けずに繊維に絡み付いてしまう。そこで新聞屋からもらった洗濯石鹸の使わないものがあるので、試してみたらなかなかよろしい。繊維化が一気に進んだ。