窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

タイの犬

 数日前に関東地方は梅雨が明けた。今年は殆ど雨が降らなくて近所の畑もカラカラだ。外の猫も何だかパサパサしている。家の猫は、数歩歩いてはパタンと倒れて放心している。タイの犬を思いだしてしまう。
 低血圧は夏が辛い。朝、気温が上がっていると、頭の中も沸騰したような感じになっている。多分夏は血圧がさらに下がるからなのではないかと思う。午前中は這いながら部屋を移動しているような感じ。イヤ、別に実際這っているわけではなくて、そんな気分ということで。

 夜になって、幾分涼しくなったと思っても部屋の温度は28度。人間慣れれば慣れるものだと、感心してしまう。私はクーラーが嫌いなのであまりつけていられない。しかし、さすがに午前中はつける。朝、陽射しを遮るものが何もないこの家は9時過ぎると温室化してしまい、その時冷えていないと夜半までその状態が続くのだ。多分、38度くらいまですぐに上がる。そうなると、友人のSちゃんが言っていたように「ピラミッドを造ったエジプト人達の過酷な環境」を思い浮かべたところで、我慢できない。