窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

夜、テレビをつけたら「猿の惑星」をやっていた。シリーズの最初のものである。なんとはなしに少し見ていた。ジーラが出てきた。懐かしい。
私の高校の2年の時の担任の女性教師がジーラというあだ名だった。それは先輩達から伝えられていたあだ名で、確かによく似ていた。ジーラは、何かの問題で学年の途中から他校へ転任になった。生徒達には「他校の先生同士が結婚することになったので、ジーラが移動しなくてはならなくなり・・・」というような訳のわからない理由が噂のように知らされていたけれど、本当の理由はおそらく別のことだったのだろう。組合かなにか、そんなあたりだろうと思う。その学期が始まって少ししてから、ジーラが挨拶にきた。気丈な先生だったのだが、教壇で別れの挨拶をしている途中で泣き始めた。悔しいというようなことをつぶやいていた。私たちは彼女ジーラと特に仲が良かったわけではなかったけれど、サバサバした性格の彼女は生徒達には人気があった。ジーラがいなくなってから、私たちは何かにつけて授業をボイコットしたりして、教師との間に信頼関係は無くなった。