窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

お正月も終り。っというか、今年の私は正月も何もなかったのだった。箱根駅伝の番組をつけっぱなしにし、(そうだ。そうだ。正月からこんなふうに走っている人もいるのだから、頑張らねば。)と思いながら版画を刷っていたのだった。学校を出て少ししてから先輩がやっているパース事務所で正月にかけてアルバイトをしたときも、駅伝を観ながら「がんばろうなー」と皆で眠い目をこすっていたことを思いだす。何も変わっとらん。
暮れに隣の奥さんから年明け早々に引っ越すという話を聞いた。隣というのは、大ちゃんの家である。引っ越し先は団地だそうで、猫を飼ってはいけないのだ。どうも私に飼ってほしいような口ぶりだったけれど私は気づかぬふりをしていた。大ちゃんは、家の猫とそりがあわない。家の猫はフレンドリーに近寄っていくのだけれど、顔がこわいせいか、大ちゃんはハシッと家の猫を叩いて寄せ付けない。慣れるかもしれないと思うけれど、この狭い家で2匹は猫密度が高すぎるし私自身も2匹は責任が持てない。「猫は家につき、犬は人につく」と、言われているけれどそんなことはない。手術をしていない雄猫の場合は別かもしれないが、手術をしてある猫なら人につくのだ。大ちゃんが引っ越し先で無事に飼われることを祈るばかりである。