窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

色々と仕事のことで迷う事の多い昨今。私はこの数年自分が一般常識からずれているという自覚を持ち始めた。好きなものなどでも・・音楽や映画。これはぜったい人気が出るだろうと自分自身は思っていても、いまいちだったりする。しかし、どうやらそれは私に限ったことではないということを、大学時代の友人と話していて知った。彼女は子供が二人いて専業主婦をやっている。今年になって四ツ谷シモン人形学校で学び始めた。私は昔、四ツ谷シモンが状況の客演で出演したのを見て以来けっこうファンなので、シモン先生に直接教えてもらっているというのを聞いて電話口でワイワイと羨ましがった。
「でもさあ。結局何かやろうとなるとマニアックなところにいっちゃうのよ。」と友人は言う。人形づくりというのは、昨今一般にも人気があると思っていたのだけれど、それ自体はそうでも四ツ谷シモンはマニアックらしい。彼女は人形づくりを学びたくて他の学校も探してみたのだそうだがココだと思ったのは、四ツ谷シモンの学校だったと言う。「自分ではポピュラーだと思っているのに、気がつくとマニアの世界にいてしまう、悲しさ」と、友人は笑っていた。
版画は昨今ポピュラーである(と思う)その中でももっともっとポピュラーな世界もある。自分の中で、マニアックかどうかを意識していないのだけれど、できることとできないことをわけていくと、結局マニアな世界に入っている。つまりは、あまり稼げない・・ってことなんだけど。