窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

久方ぶりに鳥飼の家に。鳥飼の家に着くと夫の千鳥氏チロさんも在宅で、ケーキを食べながらしばし雑談。そうして彼から野村胡堂のエッセイを借りた。野村胡堂は、私はこれまで図書館にあった捕物集で、銭形平次をいくつか読んだだけである。ああいう捕物ものはけっこうはまってしまうのだけれど、買うのもなんだし。と、それ以後読んでいなかった。千鳥氏チロさんも大学の同期。「俺は夕飯どうしようかなあ。」と、つぶやく彼を置き去りにして、私たち女二人は駅前の庄屋へ出かけてしまったのだった。許せ。(訂正:千鳥氏→チロさん。千鳥アシカとは別人。皆別名使わないとならないのでややこし)
私たちが到着したときは、店の座敷には、4人の年配の男性たちがいるのみだったのだが、そのうち女性たちで混んできた。まだ幼稚園にも行っていないような子供を連れた奥さん達の集団の後に、かなり賑やかな女性グループ4人組が私たちの後ろに座ったので、小さい机を間に挟んで座っている鳥飼の声も、よく聞こえなくなった。そんな中で、私たちは渋めのつまみ(モツ煮込みやらホッケやら)をつつきながらボソボソと話し込んでいたのだった。 
鳥飼の家と私の家は、電車の便はいいのだけれど関東横断といった感がある。適当なところで席を立ち、帰り際に階段を挟んだ隣の座敷を見ると、そこにはおじさん達がびっしりとひしめいていた。忘年会ぃっ!!という意気込みが座敷からあふれ出ていて、鳥飼と私は絶句したまま階段を下りていった。