窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

朝、天気がいいので窓を開け放していたら、家の猫が網戸に鼻をつけてウルルルルと喜んでいる。見るとアカにそっくりな茶虎の猫が、縁側に座っている。まさかと思って私が身を乗り出すと、その猫はゆっくりと縁側を降りて、ブロック塀に2,3度おでこをすりつけて、行ってしまった。上から見た縞模様がアカに似ている。が、尻尾はあんなだったろうか。長からず短からず・・・。
その少しあとで、やはり茶色い猫のパルルがのそのそとやってきた。パルルは縞模様がない赤茶色。顔もいまいち。そのせいなのか、家の猫はジロジロと見ているだけで何も言わない。彼女は茶虎の猫が好きなのだ。子猫の時にいつも遊んでもらっていた、近所のひろえさんの猫のハナが茶虎だったし、その後に弟分になったサヤタも茶虎だったからだろう。今度アカに似た猫がやってきたら、注意深く見てみよう。アカならいいのに。
アカが居なくなったのは、冬だった。ひどい風邪をひいていて、縁側に来ても何も口にしなくなっていた。そうして、ぱったりと来なくなってしまったのだ。
パルルは私がハケ用にと庭の片隅に置いてやった箱の中に納まっている。身体が大きいので、ぴったりとはまって窮屈そうだ。そうして、むりやり顔をひねって私の動向を窺っている。そういえば近頃パルルが庭に居座っているせいか、ボウシさんもやってこなくなった。野良猫達は、それぞれ暖かい場所を探して寝ているのだろう。
話は変わるが、小泉総理を見ていると、昔のオモチャを思いだす。輪っかつきのヒモが背中についていてそれを引くと「おはよう」「おやすみ」「こんにちわ」などと、5種類くらいの言葉を発するもの。(私が子供のころにはそういうのがあったのです)小泉総理も「改革無くして・・」「聖域なき・・・」云々から始まって最近の自衛隊派遣の問題では、「しかるべき・・・」「情況を判断して・・」と。これは2種類くらい。誰か後ろでヒモを引っ張ってんじゃないの?と思ってしまう。現代のオモチャだと、いくつかの言葉が入っているカードを差し込んでおくと、相手の言動に反応してその言葉を発するようになっていることも考えられる。時々、その答えでは答えとして成り立っていないのに発しているのを見ると、システム不良かしら。と思ったりする。それに引き換え、石原都知事はさすがに小説家だけあって、言葉のカードが差し込まれているようには思われない。カードを差し込もうとしても、エジェクトされてしまう。ハナからブチ壊れているかんじ。