窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

お猿のジョージ君

kamaneko2003-08-10

 げた箱の上に置いてあった、ジョージ君を洗った。
私は引っ越しが多かったので、子供のころのものは殆ど持たずにいる。卒業証書とか、通信簿くらいはどこかにあるような気もするが、持っていた人形その他は引っ越すたびに処分してきた。その中で唯一の人形が、この猿の小さな縫いぐるみである。これは、目白の自由学園で買ったものだ。名前をジョージ君という。その頃・・おそらく幼稚園か小学校の低学年の頃に、友達の家で読んだ「人まねこざる」の猿の名前だ。殆ど芸がない。
ジョージ君は、元々は手足や尾に針金が入っていて曲げられるようになっていたのだが、錆びてしまって骨折状態だったものを数年前に友人に頼んで針金を抜いてもらい、朽ちていた中のスポンジをビーズに入れ替えてもらった。買った当初もあまりに動かしすぎて腕の針金が折れてしまい、自由学園に直しにだすまで、添え木をして包帯を巻いていたものだった。

子供のころ、ジョージ君は夢の中にも出てきた。私がこれから死ぬと言う場面。私はジョージ君を連れて棺の中に入っていくという夢だった。ク、クライコドモ。